入試試験にかぎらず、
スポーツでも武術でも芸事でももちろんですが、
スタート時は楽チンなところから入ってみます。
とくにスポーツでは、
筋力づくりや柔軟性アップ、
スタミナ養成という「基礎体力作り」から入ります。
そしてテクニックでも、
まずは正しい形を心がけながら、
ゆっくり大きな動作で、
基本から反復していきます。
いきなり試合で使うような高等テクニックや
裏技を練習する人は、
あまりいないでしょう。
受験勉強や資格試験の対策においても、
同様のことがいえます。
しかし、なぜか受験勉強になると、
背伸びをして、
いきなり分厚い受験参考書を買ってきて読んでみたり、
難しい過去問にいきなり挑戦する人がいたりします。
勉強になると、
基本をマスターしてから
応用展開に進むという「当然の道理」を度外視してしまいがちです。
これでは効率的な勉強法とは、
程遠いものとなります。
スポーツや芸事なら、
基本を怠けて背伸びをしても、
体が反応しないので、
すぐわかります。
体がついていきませんし、
ケガの元なので、
しぜんと意識のないうちに
「無謀な行動」にセーブがかかるわけです。
チェック機能がすぐに働くのです。
ところが勉強は、
知識だけを持ち
実践に至らない口だけ人間になりがちなので、
このような「当然の判断」ができにくくなります。
周りの仲間が受験ムードなら、
それに影響されて気持ちが焦ることもあって、
よけいに基本をすっとばした勉強方法を採用しがちになります。
しかし基本ができていないのに、
難しいことを理解できることはありません。
かりに最初から過去問を解きまくったり、
問題と解説だけを読むことで
身につけた気になったとしても、
それは錯覚です。
「その問題そのもの」が出題されれば強いのです。
しかし、少しでも違う問題となると、
まったく応用できる力がつかないのです。
完全に一致する問題が出題されることはレアなので、
この方法では、
試験をクリアできないことになるのです。
過去の問題にトライすれば、
あくまで基本という土台があったうえでの
トレーニングであるべきです。
基本がちゃんとしていれば、
多少、過去問と違った問題が本番で出題されても、
対処できるようになります。
基本がしていないと、
行き詰るのは時間の問題です。
どんなに難問を考えても、
全然わからないので勉強が嫌いになる危険があります。
また、勉強をやるほどに
ストレスがたまりやすくなります。
その結果、記憶力の低下まで
発生すると考えられます。
効率的な勉強をしてこなかった
「つけ」が回ってきてしまうのです。
スポーツにおいても
スタミナが十分にないのに、
試合ばかりしていれば、
思ったように体が動かないためにミスを連発して、
嫌気がさし、ケガも多発することと一緒です。
基本を身につけるには、
分厚い参考書ではなく、
できるだけ分かりやすく書かれた「薄い参考書」を買ってきて、
それを何回も繰り返すことに尽きます。
復習に重点を置くことによって
長期記憶として定着し、
地力がつきます。
基本ができていれば、
難しい問題でも解けるようになるので、
勉強が面白くなってきます。
そうすれば好循環に入るので、
受験勉強が苦にならなくなり、
どんどん学力が向上していきます。
基本ができているか、
それとも不十分で半端か・・・
これほどの違いが天地ほどの差を生むとのことです。