効率的な復習の仕方とは、
エビングハウスの忘却の下降線に反発して、
できる限り上向きに保とうとする努力にほかなりません。
学習した当日に復習をしていけば、
先ずは忘却を止められますが、
それからも復習というストッパーをかけ続けていくことが
重要となります。
このへんが
「学問に王道なし」といわれる理由でしょう。
さて翌日には、
かならず復習の時間の準備をします。
必ずです。
ここを飛ばして、
1週間後に復習をしてしまうと、
かなりのペースで学んだことを忘れてしまいます。
それでは
2回の勉強時間が水の泡ともなりかねません。
そこで次の日に、
もう一度繰り返します。
時間帯は、
これも決まっていません。
朝でもよいし、
昼でも眠る前でも構いません。
とにかく、記憶の整理を行う睡眠をはさんで、
もう一度復習することに効果があります。
睡眠時間は大方6~8時間なので、
そのくらい時間をおけば十分です。
人は寝ているときに、
その日学んだことを呼び集めたり
吟味したりしています。
このとき大脳辺縁系にある扁桃体という部分が、
重要度を天秤にかけています。
扁桃体は感情と
本能を生み出す元となる部分。
好き・嫌い、快・不快、
役立つか・そうでないかなどの尺度をもって、
記憶を取捨選択しています。
このときに面白いことや好感を持っていること、
印象深いものは、
扁桃体によって重要とみなされ、
長期記憶に一つになっていきます。
また何度も反復したことも、
扁桃体につれて大切と判別され、
記憶に定着しやすくなります。
このように睡眠中には、
記憶の選別と整理整頓が行われています。
整理されたあとに、もう一度、
復習することに働きがあります。
そのため睡眠を挟んだ翌日であれば、
どのタイミングで復習の時間をとってもよいのです。
これで短いあいだに
3回繰り返したことになります。
人は3回復習すると、
その後使いやすいように1週間は、
記憶を高い水準で保つことができます。
記憶のコツとして覚えておきましょう。
この記憶のルールを理解しなければ、
「復習することが大事と聞くから」といって、
むやみやたらに復習の時間を取ることにもなると思います。
そうしたら、
そのぶん勉強の進行が遅れてしまいます。
また、同じ情報がすごい勢いで脳内に入ってくると、
単調な情報とみなされ、
脳はその情報を軽減させようとします。
つまり、ざるで水をすくうように
ムダな勉強時間になってしまうリスクがあります。
復習は、ちょっと記憶が弱まってきたかな、
というタイミングで行うのがよいわけです。
(忘却度合を察知する脳力をメタ記憶と称します)
まだ記憶が生生しいうちに復習をすると、
一本調子になってしまい、
脳が受け付けないのです。
それでは逆効果です。
ただし先ほど述べたように、
一番初めの学習のさいは別です。
はじめて目にする事柄なので目新しさがあり、
直後でも脳はイージーと感じないからです。