「発音は学ばなくてもいい。伝える中身が大事」
という意見もあったりしますよね。
確かに、いくら発音が流暢なスピーカーであっても、
中身がなければ聞いてもらえません。
逆に、発音は流暢ではないけど、人を魅了できるスピーカーがいるのも事実。
ですが、例えば、日本語を学ぶ外国人に、
「漢字は学ばなくていい。伝える中身が大事」って言えますか?
確かに、
ひらかなとカタカナだけでも、
文章は書けます。
ですが、ひらがなと、
カタカナだけのぶんしょうというのは、
どくしゃにとってよみづらいんです。
どうですか、よみづらくないですか?
かんじがないぶんしょうって、
めっちゃよみづらいんですよ。
それに、多くの漢字を知ってたほうが、
読める文章も増えますし、自分が書ける漢字は読めますよね。
相手のことを考えて仕事をしている人は、
相手が聞き取りやすい発音(言葉遣い)・読みやすい文章を心掛けています。
伝える中身同様、伝え方もすごく大事。
というわけで、この記事では、
発音学習で得られる効果と、
そのトレーニングの進め方についてのまとめていきたいと思います!<(゚Д゚ )
(1) リスニング力が上がる
英語には、日本語にない発音(特に子音)がけっこうあります。
そして、その母国語にない発音(=自分ができない発音)は、
脳に「雑音」として処理されてしまうので、
聞き取れないそうなんですね。
僕は以前、
「S」と「TH」をよく聞き間違えていたのですが、
シャドウイングやオーバーラッピングをする際に、
きちんと発音するように心掛けてきたお陰で、
今では聞き間違えることは、ほぼなくなりました。
そこから導き出される結論は、
自分が発音できる音 = 聞き取れる音
ということです。
また、「L」と「R」も同様にトレーニングしてきてまして、
昔よりは聞き分けられるようになったものの、
今でも間違えてしまうときがあります。
ということはつまり、
まだ自分の「L」と「R」の発音が完全ではないんだなと。
※ただ、たいていの場合、
会話の流れやコロケーションから判断できるのでそんなに困らないです。
リスニングができるようになるには、
【Step 1】音が聞き取れる
▼
【Step 2】聞き取った音から語彙の意味が理解できる
▼
リスニングができる
というプロセスを踏みます。
ご注意いただきたいのは、
発音練習で向上するのは【Step 1】だけなので、
発音の練習だけで、
完全にリスニングができるようになるわけではないです。
しかし、あいや待たれーい!(゚Д゚)ノ
今一度、上の図をご覧ください。
例えば、単語や熟語の意味を覚えるというのは、【Step 2】になります。
つまり、
【Step 2】どんなにたくさんの単語の意味を覚えたとしても、
【Step 1】それらの単語の発音が分からなければ、
聞き取れないんです。
このプロセスは非常に重要で、
このことを知らない中級者はリスニングで伸び悩みます。
逆に言えば、
リスニングで伸び悩んでいる中級者は、
発音練習をするだけで、
リスニングが大幅に伸びる可能性があります。
なぜなら、発音が分かると、
英語の音を処理する脳の負担が減り、
聞き取った音から意味を理解するほうへ、
脳の処理リソースを多く回せるようになるからです。
また、
「【Step 1】音は聞き取れるけど、
【Step 2】意味がつかめない」というレベルになり始めたら、
瞬間英作文(和文英訳)トレーニングをお勧めします。
瞬間英作文とは、
日本語を見て瞬時に英訳するトレーニングなのですが、
自分で瞬時に英文が作れると、
その英文は聞ける・読めるようになります。
もちろん音が聞き取れることが前提です。
個人的には、このトレーニングの効果は絶大です。
(2) 英語を声に出すことが楽しくなる→継続できる
自分の発音がネイティブっぽくなってくると、
間違いなく英語を口に出すことが楽しくなります。
そうなると、
音読・オーバーラッピング・シャドウイングなど、
声に出す系のトレーニングが楽しくなってきます。
そして、
練習が楽しい
▼
楽しいと継続できる
▼
継続は力なり
▼
上達するとさらに楽しくなる
という好循環ができ上がります。
このように、発音練習は、
僕が英語を続けてこられた最も大きな理由の一つです。
また、丁寧な発音で音読ができれば、
耳からも英語が身につくので、
下手な発音で音読している人よりも、
音読・オーバーラッピング・シャドウイング時の上達速度は大幅に高まります。
(3) 発音がネイティブっぽくなると自信がつく
自分の発音がネイティブっぽくなってくると、
妙な自信がついてきます。
別にそんな英語力があるわけでもないのに(笑)。
でも、なかなか上達を感じられない英語学習において、
こういう小さな自信というのは、すごく重要なんです。
その小さな自信の積み重ねが、
英語学習の継続につながり、
その継続が英語力向上につながるからです(`・ω・´)b キリッ
(4) 相手が聞き取りやすくなる
最後4つめ。
最初のほうでも少しお伝えしましたが、
丁寧な発音ができると、
相手が聞き取りやすくなります。
つまり、丁寧な発音ができることは、
相手への思いやりなのです。
そして、
相手が聞き取りやすい発音ができるようになる
▼
自分の話を聞いてもらいやすくなる
▼
自分を理解してもらいやすくなる
ということになります。
ですので、
丁寧な発音ができるようになるということは、
コミュニケーションの円滑化につながるのです。
2. 発音学習の進め方
発音学習の進め方を、
3Stepsに分けて説明していきたいと思います。
Step 1:「英語耳」で発音を練習する
「英語耳」をお薦めする理由
たいていの方はご存知だと思いますが、
発音練習本は、他にもいろいろ出てまして、
ぶっちゃけ、どれをやってもいいと思います。
本屋さんでザッとみてる限りでは、
発音練習本にはそんな悪いものはないように思えますし、
実際にそれらを利用されている方のお話を聞いていると評判も悪くないです。
そして、まだ発音練習本をお持ちでない方や、
「持ってるけど、分厚すぎてやる気がおきない」という方には、
次の言わずと知れた「英語耳」がおすすめです。
僕が英語の勉強を続けてこられた大きな理由の1つは、
学習初期の頃に、この本に出会えたからです。
僕がこの「英語耳」をお勧めする理由は、
類書と比べて毎日練習しやすいことです。
「英語耳」よりも、解説が詳しく、
丁寧に書かれている発音練習本はたくさんありますし、
収録されてある発音の数がもっと多いものもあったり、
「英語耳」には付属していないDVDが付いているものもあったりします。
ですが、分厚い発音練習本や、
発音練習DVDで毎日練習できる人ってほとんどいないと思うんですよ。
発音練習も、毎日やらなければ上達しないので、
毎日練習できない英語教材は、持っていないのと同じ。
※ただし、辞書・文法書系を除く。
ですが、この「英語耳」は、練習する音の数が絞られてるんですね。
練習する音の数が絞られている
▼
1回当たりの練習時間が短い
▼
毎日練習しやすい(継続しやすい)
▼
継続は力なり
というのが「英語耳」が、
かつてベストセラーになった最も大きな理由の一つではないかと推測してます。
僕はこの「英語耳」のCD(約30分~40分)で、
トータルで100周以上やりました。
※MP3化して、50周目以降くらいから、苦手で重要な音だけにしました。
※歌は「Top of the World」を300周以上歌いました。
英語は、勉強し続けてもなかなか上達を感じれなかったりしますが、
そんな中で、発音練習は、毎日続ければ、
1か月後には何らかの変化を感じられ、3ヶ月続ければ、
日本人にしては悪くない発音になります。
ですので、
挫折しやすい英語学習初期には、
もってこいのトレーニングだと考えています。
この「英語耳」で何度も反復して、
自分の発音が流暢になればなるほど、
リスニングの音の聞き取りが良くなっていきますし、
「おっ今の俺の発音、ネイティブっぽくね?」と、自己陶酔できます。
僕はまだ検討中の本で、
購入はしていないのですが、
周囲の持っている方のお話をお聞きしていると評判はいいです。
Step 2:音の連結・消失のルールを学ぶ
上述の「英語耳」などで、
発音練習を100周(100日)以上繰り返すと、
基本的な発音は身についてくると思います。
次は、音の連結(ユニゾン)や消失のルールを学びます。
例えば…
●Thank you. サンク・ユーではなく、サンキュー とつながる、
●Check it out. チェック・イット・アウト ではなく、 チェケラウ になる
●restaurant レストラン:最後の t の音が消える
●little リル:途中の t の音が消える
のように、
英語では、前後の単語の音がつながったり、
音が消えたりするのは、皆さん何となくご存知だと思います。
こういった音の連結・消失には、
よくあるパターンがありまして、
それらをあらかじめ学んで練習しておけば、
TOEICのリスニングや、
英会話・リスニング系の教材をやるときにスムーズに入ることができます。
「ディクテーション」で聞き取れない発音が分かる
ディクテーションとは、
英文スクリプトや日本語訳を一切見ずに、
CDやMP3の音声を聞いて、紙に書き出す(もしくはPCでタイピングする)トレーニングです。
このディクテーションをやることで、
自分が聞き取れない音、苦手な音というのが判明します。
※と言っても、
英語初心者は聞き取れない音だらけなので、
最初は苦労します(ノд`)←苦労人
ディクテーションで判明した、
聞き取れなかった音を、
オーバーラッピング(CD・MP3音声に合わせて音読)や、
シャドウイングなどで毎日練習やれば、
それらの音が聞き取れるようになり、その結果、リスニング力が向上します。
また、上述の「リスニング大特訓」を一通り学んだら、
TOEICをやる人は、
Part 1・2の音声でディクテーションすることで、
音の連結・消失を学べます。
Step 3:音読・シャドウイング時に発音練習
上述の本を例え全部、
きちんとこなすと、
日本人にしては悪くない発音になってくるとは思いますが、
そこで発音練習が終わるわけではありません。
英会話の先生に、
「Your pronunciation is good!」と言ってもらえるようになってきましたが、
「Great!」「Excellent!」と言われたことはまだありません(笑)。
それに、まだまだスラスラと発音できない単語はありますし、
海外ドラマなんかを見てると、
音の連結・消失で瞬時に聞き取れないものが、まだかなりあるなーと感じています。
ですので、
普段の瞬間英作文や音読・シャドウイングなどのトレーニングの際に、
少し時間を取って、発音・アクセントの不明な単語を調べ、
CD・MP3音声に合わせて何度も口に出すようにして、
引き続き、発音練習を続けていこうと思っています。
3. 発音練習が楽しくない人は英語で歌う!
「発音練習、苦しいです」というご相談をいただくので、
そういう方は、
好きな洋楽アーティストの歌を使って練習するのはいかがでしょうか?
僕は「英語耳」で紹介されていた「Catpenters」の「Top of the World」で練習しました。
ボーカルのカレンの声がとても美しく、
米語の発音としても、とてもナチュラルです。
また、「Carpenters」の曲は、
楽器の数が少なく、
落ち着いて聴けるので、勉強中のBGMとしてもおすすめ。
4. 発音レッスン・セミナーを受けてみる
僕自身は受けたことがないので、
積極的にお薦めするというわけではないですが、
「自分一人で発音練習をやっていても、
なんかシックリこない、よく分からない」という方は、
●オンライン英会話の「発音レッスン」を受けてみる
●「発音セミナー」に参加してみる
という選択肢もあります。
例えば、Googleで「オンライン英会話 発音」で検索すると、
発音レッスンが受けられるオンライン英会話スクールがヒットします。
また、関西にお住まいの方であれば、
兵庫県の「西宮一発音にこだわるTOEIC講師」の天満嗣雄先生の
「発音ワークショップ」に参加する方法があります。
僕自身は、
天満先生の「発音セミナー」には参加したことはないのですが、
天満先生の「TOEICセミナー」「TOEICまつり」には参加したことはありまして、
天満先生の発音がスゴイのは体験しています。
逆に、「スクールに通いたい」という方で、
東京にお住まいの方は、超リアル模試や文法特急シリーズで、
おなじみのTOEIC講師・花田徹也先生 の新宿にある塾で、
「発音・リスニング強化クラス」に通うという選択肢もあります。
実は2012年、
花田先生の「第2回花田塾チャリティーセミナー」に、
参加させていただいたことがありまして、
花田先生の発音もすごく流暢だなと感じました。
また、花田先生の教え方は、
書籍同様に非常に論理的で分かりやすいです。
通うつもりがなかったとしても、
とりあえず体験レッスンを受けてみてもいいかもしれないですね。
5. 発音は大切だけど…
最後に、「発音を極めること」について。
発音を極めて、
「発音オタク」になること自体は、
悪いことではないと思っています。
楽しいのであれば、
誰も止めることはできません。
僕も発音練習は好きな人です。
ですが、僕が発音練習に、
もっと時間を割きたい気持ちはあるものの、
あんまり割いていないのは、
「とりあえず、最低限の発音はできてるっぽいので、
今は発音よりもきちんと会話力を伸ばしたい」という理由からです。
特に、時間のない方は、
「今何の勉強をするのが、自分にとって最も重要か?」を考えて、
勉強していったほうがいいと思うのです。
また、以前オーストラリア人親子のホームステイの受け入れをしたことがあるのですが、
そのときにママさんが、
「アメリカ人の発音は、訛り過ぎてるわ。特に『R』の巻き舌!RRRRR!」と言っていました。
そうなんです。
TOEICをやっていると、
「オーストラリア男性の発音、
訛りすぎてて聞き取りづらい…」とか言ってしまいますが、
オーストラリア人からすれば、アメリカ人の発音が訛っているんです。
英語勉強法指南書である
「20歳を過ぎてから英語を学ぼうと決めた人たちへ」で知ったのですが、
世界で英語を公用語としている国は80カ国くらいあり、
母国語として話す人が5億、
第二言語として話せる人も含めると、18億人くらいいるそうなんですね。
世界的な視野で見ると、
アメリカ英語というのは、
北米に住む人々の方言なんです。
そういったこと知るようになってから、
「丁寧な発音はできたほうがいい。
ただ、他にもっとやりたいことがあるなら、
完璧な発音をめざす必要はない」と思うようになってきました。
そもそも完璧な発音なんてないですしね。