年明け早々、乃木坂46の顔ともいえる白石麻衣が卒業を発表した。昨年から、西野七瀬や桜井玲香といった結成当初からグループを支えてきた中心メンバーの卒業も相次いでいる。そんな激動の真っただ中において、3期生として2016年に加入した山下美月(20)は次期エースとの呼び声も高い。昨年は、坂道シリーズ(乃木坂46・欅坂46・日向坂46)とAKB48グループの合同ユニット・坂道AKBでセンターを務めた。雑誌モデルやテレビドラマ出演など多方面に活躍の場を広げており、今月発売のファースト写真集は初版14万部、さらに発売前重版を含め既に16万部という異例の数字を記録している。その山下が、変革期を迎えた乃木坂46に対する率直な思いを語った。(取材・文:左藤豊/撮影:伊藤圭/Yahoo!ニュース 特集編集部)
全員がセンターを張れるくらいの乃木坂46でありたい
「先輩方の卒業は、純粋に、すごく寂しいです。そして『もっともっと頑張らなきゃ』という気持ちです」
グループの顔ともいえる白石麻衣の卒業も発表され、昨年は西野七瀬の卒業も経験した山下美月(20)はそう思いを吐露する。
乃木坂46は2011年に結成され、今年2月でメジャーデビュー8周年を迎える。16年夏に途中加入した山下は、当時すでに爆発的人気を誇っていた1、2期生の大きな背中をひたすら追い続けてきた。先輩たちへの尊敬の念は、今も変わってはいない。
「先輩方が卒業される中で、いかに乃木坂46をパワーダウンさせずに現状を維持させるか……。それが一番難しいと感じています。今の乃木坂46らしさを作り上げてきたのは先輩方であって、私たち3期生や(2018年に)新たに入ってくれた4期生はまだ、追いつこうとがむしゃらに頑張っている途中。先輩方が持つ“強さ”を、私たちも早く身につけられたらと思っています」
山下は、“強い乃木坂46”を受け継いでいきたいと語る。
「乃木坂46というのは“常に全員が強いグループ”。選抜・アンダー(非選抜)問わず、舞台やバラエティーなど個人で活躍しているメンバーも多いですし、それこそ全員がセンターを張れるくらい一人ひとりに個性があって輝いているのが強みだと思います。それをずっと続けていければいいな、と」
アイドル、モデル、女優をこなす“不器用人間”
山下は現在、選抜の中でもフロントメンバー(通称“福神”)を務めることが多く、昨年発表された坂道シリーズ(乃木坂46・欅坂46・日向坂46)とAKB48グループの合同ユニット・坂道AKBの楽曲「初恋ドア」ではセンターポジションに立った。またファッション誌「CanCam」(小学館)の専属モデルを務め、さらに女優としてテレビドラマ「電影少女 -VIDEO GIRL MAI 2019-」(テレビ東京)では主演も果たす活躍ぶりだ。
アイドル、モデル、女優とさまざまな顔を使い分けることから器用な人物像をイメージされがちな山下だが、本人の自己分析はまったく異なる。
「私は自分のことを“不器用人間”だと思っています。ただ、『最後までやりきりたい』という気持ちは強くて、例えば乃木坂46のライブでも舞台やドラマでのお芝居でも、一つひとつのお仕事に対して妥協は一切したくないんです。だから、どちらかというと“根性論”タイプの人間ですね。とにかく自分に負けたくないので」
山下は、肯定、否定にかかわらずあらゆる意見に耳を傾けている。
「お仕事終わりにスタッフの方に『今日の私、どこがダメでしたか』と聞いて、その夜に一人で反省会をしたりしますね」
ただ、その前向きな性格は決して生まれ持ったものではない。グループ加入以降数々の壁にぶつかり苦悩を繰り返した結果、身についたものだ。
「私たち3期生が初めて立ったステージは日本武道館でものすごく緊張しましたし、また、モデルやお芝居のお仕事は最初、『今の私の実力でこんなお仕事をいただいていいのだろうか』という不安が大きくて。ただ、乃木坂46の中にいると考えるよりもまず先に行動しなきゃいけないことがとても多いんですよね。それを繰り返していくうちに、『まぁ、誰にだって初めてのことはあるよね』みたいな考え方に変わっていきました(笑)。そして、泣いて悩んだことでも、結局それらの多くは乗り越えられたし、自信にもつながりました。特にこの1年くらいでとても楽観的な性格になったと思います」