受験用の参考書や教科書、
過去問などを勉強していると、
どんどん知識が脳内に乱雑に詰め込まれるいっぽうで、
古い記憶が薄れていき、
どんどん混乱していくことがあります。
そうなると、模試やテストといった「肝心な時」に、
覚えたことが出てこなくなったりします。
個々の記憶どうしの「関連性」や、
全体の「階層構造」が俯瞰できないため、
お互いにどういった関係にあるのか?
現在地はどこなのか?を理解しづらいのです。
そこで、ある程度、学習が進んだら頃合いを見計らって、
それらを整理整頓してみるとよいかもしれません。
しかし整理といっても、
頭の中だけで想像するのではありません。
きちんと「見える化」することが大事です。
手書きにしてみたり、
エクセルやワードなどのファイルにまとめると効果的です。
雑然とした知識と、整然とした知識
実際に書きだすことによって、
「ひとつの知識」が、
全体のどのあたりに位置するのか?といった「現在地」や、
ほかの知識との「関係性」が見えてきます。
雑多に脳内に詰め込まれていた、
いろいろな知識間での「上下関係」、
「並列関係」といった階層構造を、
客観的に認識できるようになるわけです。
今までは個々の知識に注目しすぎるあまり、
近視眼的にしか見れていなかったものが、
一歩引いて距離をおくことで
全体を眺められるようになる、ということです。
そういった「階層構造のツリー」の
上層に位置する知識は、
言ってみれば「木の幹」に当たります。
細かい知識は、
そこから枝分かれしていったものです。
実際に目に見える形で書きだすことによって、
こういった関係性が一目瞭然になります。
それは「記憶力を高める方法」として、
欠かせない作業です。
個々の知識を客観的に眺めることができるのです。
なかには、そういったツリー上には該当せず、
「補足説明」や「参考」といった位置づけの知識記憶もあります。
それらを区分けできるようになると、
「本当に重要なものと、そうでないもの」を
明確に区別できるようになります。
また、上層のカテゴリ(横書きなら左のほう)に
何がくるかが分かれば、
右脳のイメージが働くようになるため、
概要理解が容易になります。
そうなると、
今までバラバラに存在して
機能していなかった様々な記憶に、
とつぜん命が吹き込まれ、
お互いに手をつなぎ始めます。
一転して、
生き生きと躍動してくるわけです。
記憶というものは、
個別にバラバラの状態で存在しているうちは躍動性がなく、
したがって実戦で活用できない記憶です。
しかし全体を俯瞰できるようになり、
その中でのポジションが明確になると、
一転してよみがえるのです。
植物でも肥沃な大地に根差していたほうが、
水分やミネラルを吸収できますよね?
根無し草では、
すぐに枯れてしまいます。
本でも目次があるからこそ、
全体の構成をつかみすくなります。
しかも、迷ったときに目次に立ち戻ることで、
「今は全体のどのあたりにいるのか?」も
すぐにわかります。
混乱している雑多な記憶を
「目に見える形」に整理して、
お互いの関係性を洗い出すと、
「新たな視点から、それぞれの知識を連結できる」ので、
より強固な長期記憶になるのです。
記憶の「再構築」ですね。
記憶を整理する方法とは?
記憶を整理するには、
実際に「目に見える形」に具現化することが肝心であり、
以下のような方法があります。
箇条書きにする
階層構造にしてみる
図示してみる
イラストにしてみる
弱点だけをまとめたノートを作る
これらを日々の勉強方法のなかに適宜、
組み込むことで、
つねにスッキリとした状態で
学習を進めていくことが可能になります。
もちろん、まとめばかりでは
先に進みませんが、先に進んだら、
また「まとめ」を書いたノートを見たり、
新たに学習したことを付け加えていくことで、
つねに知識を客観的に俯瞰していけます。
学んだことを、
まとめることで効果的な復習にもなります。
復習効果を最大限にするには、
できるだけ借り物の言葉ではなく、
自分の言葉でまとめることがポイント。
短く、端的に表現するにはどうしたらいいか?と
頭をひねることは、
記憶の整理だけではなく、
定着もうながします。
また短い表現のほうが、
あとから見たときに、
一瞬でスムーズに記憶を再現できるようになります。
できるだけ短い言葉でまとめる・・・
これがポイントです。
箇条書きにするだけで覚えやすくなる
箇条書きの「脳内整理効果」は、
誰しも経験から知っていることと思います。
文章でだらだらと長く書きつらねるよりも、
箇条書きで適度に改行し、
「視覚的に見やすく整理」したほうが、
すんなりと理解できるものです。
当サイトでも、ほとんどのページで、
まず最初に全体の概要を書いたあと、
できるだけ箇条書きで
ポイントをまとめるようにしています。
そうすることによって、
「そのページのポイントは何か?」
「どんな方法があるのか?」
が、一目ですぐにわかるからです。
左脳的要素に右脳的要素を取り込めるのです。
また箇条書きにするさいに、
タイトルも重要な要素です。
タイトルは階層構造でいえば、
箇条書きして並べた各項目(=子)の「親」であり、
「一つ上の階層の部分」。
タイトルをつけるだけで、
しぜんと階層構造を意識することになるわけです。
タイトルも当サイトのように、
できるだけ簡潔に、
内容を一言で表現した、
的を射たものを考えることが肝心です。
そうすれば、あとから見返したときに、
一瞬でイメージが湧いてくるからです。
たとえば、ある病気のことを
ネットで調べてエクセルにまとめるようなときは、
どうでしょうか?
まず階層構造の最上層は
「○○病について」となり、
これが”親”になります。
その下に2階層目の”子供”として、
番号をふって「見出し」とします。
その下に、ようやく3階層目の”孫”として、
箇条書きしていくわけです。
「1.原因」として、
その下に原因となるものを箇条書きにする。
「2.症状」として、
同じく箇条書きで書く。
「3.治療法」として、
これも箇条書きにする。
こうすると「原因」と「症状」、
「治療法」は、
お互いに並列関係にあることがわかります。
その下にある箇条書きの部分は、
それぞれが、
また並列関係にあります。
階層構造は、
下に行くほど膨れて、
大きくなることが特徴です。
できるだけ短くしようと
頭をひねって考え出したフレーズや文章ほど、
長期記憶として定着しやすくなります。
たんにテキストに書いてあった言葉を写すよりも、
深く自分の脳裏に刻まれるものです。
テキストを読む自分の声をicレコーダーに吹き込み、
それを聴いたほうが、
ほかの人の音声を聴くよりも
記憶に残りやすいことと一緒です。
親しみがわくのです。
自分にしっくりくる言い回しや
表現というものがあるわけですね。
あとから読み直したときに、
「もっといい表現」があれば適宜、
修正していくこともいいでしょう。
ノートに書いた文字の修正は
難しいかもしれませんが、
エクセルファイルなら、
かんたんに修正できます。
もっと、しっくりくる表現、
一瞬でスッと心に入ってくる表現はないか?を
常に追及しましょう。
そう考えると、
箇条書きにまとめるために頭をひねることは、
いいキャッチコピーやフレーズを
紡ぎだそうとしている「コピーライター」に似ていますね。
「勉強したことを、
自分にわかりやすい表現に置き換える。」
これは余計な細かい部分を削ぎ落して、
概略だけを見えるようにすることにも通じます。
むずかしい専門用語を省略することで、
その奥に隠された概要、
根本が浮き彫りになるのです。
細かいことは、
欄外に矢印で引っ張って、
補足説明として別に書けばよいのです。
何でも一文に詰め込むと、
全体を俯瞰できなくなります。
箇条書きの中に、
詳細を組み入れる必要はありません。
箇条書きとは、
概要を把握するために行う作業なのですから。
図やイラストにしてみる
箇条書きというと文章です。
ただし文章とはいっても、
一文ずつに区分けして改行することで、
実はフローのように図示していることと同じになります。
そのため視覚的イメージが働きやすくなり、
右脳学習になるのです。
そのほか、文章をボックスで囲ったり、
矢印で流れを分かりやすくする方法も、
有効な勉強方法であり記憶の整理法です。
この場合は、
エクセルでもできなくはないですが、
ノートに手書きするほうが簡単です。
また手で書いた方が、
あとで述べる「イラスト」を描けたりと自由がきくので、
こちらのほうがいいかもしれません。
手書きでまとめると、
矢印を欄外に引っ張って、
かんたんに補足説明ができます。
いくらでも、
あとから説明を追加できるので、
自分だけの最高のノートに仕上がっていきます。
使い込むほどに味わいが増していきます。
この場合、ノートの中央に、
比較的大きな文字で書いてある部分が木の幹です。
階層構造でいうと、
上の階層に当たります。
それにたいして、
矢印で欄外に引っ張って、
空白部分に書いている補足説明は下の階層に当たります。
このようにノートの見開きという面からも、
書く場所によって階層構造を明確にできるわけです。
ただ何でもかんでも、
雑多にノートに詰め込むよりは、
役割や重要度におうじて書く場所を変える・・・
これだけで「一目見ただけで」
スッと頭に入ってきやすいノートになります。
復習のときに重宝します。
書く場所だけではなく、
重要な部分の下に赤線を引いたり、
それほど重要ではない補足説明の部分は
文字を小さくすることでも、
階層構造を明確にできます。
ただ、あまりに下線を引きすぎたり、
いろいろな種類の色を使いすぎると、
どれが重要かがわかりづらくなります。
ノートは、できるだけ
シンプルに一色で書くように心がけ、
どうしても重要なことが一目で分からない場合に、
赤線を引いて見やすくするとよいでしょう。
おもしろいノートの書き方として、
漫画の吹き出しのようにして、
そのなかに言葉を書く方法があります。
これなどは、
小さい吹き出しのなかに言葉を書く必要性が生じますから、
ピリッとまとまったフレーズを
考え出さなければなりません。
ただ、そんなに気張らず、
気楽な気持ちで書くといいのではないでしょうか。
イラストが得意な人は、
内容を一発で表現できるような絵を描くと、
右脳的に記憶することができます。
つまり、すぐに
長期記憶化できるということです。
あとから復習するときにも、
自分で描いたイラストを一目見ただけで、
学んだ内容を思い出しやすくなります。
最近、
マインドマップという記憶の整理法が注目を集めています。
これは中央部分に、
もっとも上位にくるものを配置し、
階層構造の下層にいくほどに、
どんどん枝分かれさせて派生して描いていきます。
ただし複雑な内容を、
マインドマップですべて表現することは、
むずかしいのではないでしょうか。
その意味では、
本の目次のように「箇条書き」をすることを基本として、
できるなら図にしてみたり、
ときには遊び心でイラストを添えてみる、
というほうが簡単だし、
より実用的な気がします。
弱点だけをまとめたノートを作る
そのほか自分の弱点となるような知識、
よく間違える部分だけをまとめたノートをつくると、
記憶の整理や定着に役立ちます。
この場合、何でもかんでも書くのではなく、
かなり厳選して書き込むようにします。
そうすることで、
本当に苦手な項目だけが書かれたノートが完成します。
このノートを何度も復習することによって、
ウィークポイントが長所に変わります。
また試験前には、
このノートを重点的に読み返すだけで、
かなり質の高い学習になるはずです。
これも苦手なことだけを分離して、
整理してまとめることにより、
記憶しやすくなるわけです。
異なる項目ごとに分類する、
似た者どうしをまとめて整理する・・・
それは階層構造を明確にすることです。
その「見える化」した作業が、
そのまま脳内に反映されて収納されるため、
いままで散らばって存在していた雑多な記憶が、
スッキリと整理整頓されるのです。