たとえば映画を話のネタに雑談してるとします。お気に入りの映画をほめるなら「あの映画最高だったよー」などという会話になるはずです。単純にほめるだけならそれだけで十分ですが、会話を盛り上げようと何かを引き合いに出すことがあります。
「今やってるほかの映画はダメだったけど、あの映画だけはすごく良かったよ」と話せば、どれだけ映画を気に入ったのかが際立ちます。しかし「あの映画最高だったよー」だけの話し方なら誰を傷つけることもありませんが、「今やってるほかの映画はダメだ」という話し方だと、他の映画を気に入っている人が傷つきます。自分の感性を否定されたと思う人も出てくるでしょう。
さらに会話例を挙げます。
・相手を傷つける話し方例
とげ(他をけなした)のある会話例1(雑談シーン)
あなた「ラーメン屋の跡地にできたイタリアンのお店すごくおいしかったよ。」
相手 「えーそうなんだ。私も今度行ってみよーっと。」
あなた「前のラーメン屋ってすごくまずかったよね。あんな脂っこいスープ飲めるもんじゃなかったもんね。よかったね、おいしいお店が近所にできて。」
相手 「私はラーメン屋さんも好きだったけどなぁ・・・」
・相手を傷つける話し方例
とげ(他をけなした)のある会話例2(ビジネスシーン)
あなた「君が作ってくれた資料すごく分かりやすくていいね。」
相手 「ありがとうございます!」
あなた「こないだのプレゼンの資料も君に頼めばよかったなぁ。誤字脱字が多かったんだよ。要点もおさえられてないし。」
相手 「すいません。あの資料も私が作ったんです・・・」
自分の大好きなものや目の前の相手をほめる会話は、話し手も聞き手も楽しいものです。人の悪口やネガティブな会話をするのに比べて、前向きな会話はうれしい気持ちが生まれます。しかし、会話を盛り上げたい、相手を喜ばせたいという気持ちが強くなると、ほめを際立たせるために、他をけなす話し方をしがちです。そしてけなしたものが会話のとげとなり相手を傷つけます。
けなしたものを好きな人だっています。話し方の気配りに欠けると、予定外に会話のとげが生まれるのです。目的は、あくまでほめることです。他をけなすことで、人を傷つけ、人間関係にトラブルを起こしては、すべてがパーです。
先ほどの会話例を他をけなさず言い直すと、次のようになります。
・会話例1を人間関係をよくする話し方に変換
とげ(他をけなした)をなくした会話例1(雑談シーン)
あなた「ラーメン屋の跡地にできたイタリアンのお店すごくおいしかったよ。」
相手 「えーそうなんだ。私も今度行ってみよーっと。」
あなた「よかったね、おいしいお店が近所にできて。」
相手 「うん。これからいつでも行けるね!」
・会話例2を人間関係をよくする話し方に変換
とげ(他をけなした)をなくした会話例2(ビジネスシーン)
あなた「君が作ってくれた資料すごく分かりやすくていいね。」
相手 「ありがとうございます!」
あなた「今後のプレゼンの資料とかも、君にお任せするかもしれないけどよろしくね!」
相手 「はい!(嬉)」
何かをほめるときは、ほめるだけにしましょう。他をけなすとそれが会話のとげになるかもしれません。ついやってしまいがちな話し方なので、用心しましょう。